昭和から平成へ──時代が大きく動く中で、「教育」はどのように変わってきたのか。
その流れをひとつの学習塾の歴史を軸に描き出したのが
森絵都さんの長編小説『みかづき』です。
600ページを超える物語でありながら、ページをめくる手が止まらない。
そんな魅力に満ちた作品を、今回はご紹介したいと思います。
本 ご紹介
【みかづき】
著者:森 絵都
昭和30年代から平成末期まで、「塾」を舞台に主人公の人生を描いた長編小説です。
あらすじ
小学校の用務員として働く主人公・大島吾郎は
放課後に子どもたちへ勉強を教えていました。
その評判を聞きつけた生徒の母・千明から、学習塾の立ち上げに誘われます。
この出会いが、吾郎の人生を公私ともに大きく変えていくことに――。
学校が「太陽」なら塾は「月」
交わらないはずの二つが「教育」という共通点でつながり
時代ごとの教育の実態が浮かび上がります。
感想
高度経済成長期、バブル期、そして“失われた30年”。
3世代にわたる塾経営の歴史を通じて、戦後教育の移り変わりが見えてきます。
塾の成長と共に現れる受験戦争、詰め込み教育、ゆとり教育……。
理想の教育と塾経営の狭間で揺れる千明と、初志貫徹を貫く吾郎。
同じ「教育」という志を持っていても、困難に立ち向かう方向は必ずしも同じではない。
その姿がとても人間らしく感じられました。
600ページを超える長編ですが
「この先どうなるの?」
と、読み進める手が止まらない作品です。
私も“八千代塾”に通ってみたかったなぁ。

